データはあるのに、すぐに見られない状態を変える
多くの企業では、日々の業務の中でさまざまなデータが蓄積されています。売上、問い合わせ、予約、申込、作業履歴、顧客情報、各種ステータスなど、意思決定に役立つ情報はすでに存在していることが少なくありません。
しかし、それらのデータが複数のシステムやファイルに分散していると、必要なときにすぐ確認できません。担当者が各システムからデータを出力し、表計算に転記し、集計し、グラフを作成する。こうした運用では、確認したい数字を見るまでに時間がかかります。
さらに、手作業が多いほど、入力ミスや更新漏れも起きやすくなります。数字を見るたびに集計作業が必要になると、改善のための議論よりも、資料作成に時間を取られてしまいます。
今回は、こうした状態を改善するために、複数箇所に分かれている業務データを自動で集約し、確認しやすい形で可視化するMVPとして開発しました。
課題
開発前には、主に次のような課題がありました。
- 業務データが複数のシステムやファイルに分散している
- 手作業での集計に時間がかかる
- データの更新タイミングが揃わず、数字の確認に手間がかかる
- 経営判断や業務改善に必要な指標をすぐに見られない
- どのデータから連携すべきか整理が必要
BIツールを作る場合、最初からすべてのデータを対象にしようとすると、要件整理だけで時間がかかってしまいます。そこで今回は、まず効果を確認しやすいデータに絞り、短期間でデータ取得から可視化までの流れを作ることを優先しました。
取り組み
初期段階では、すべての業務データを対象にするのではなく、業務上の効果が見えやすいデータから連携しました。
- 複数システムからのデータ取得
- クラウド上のデータベースへの蓄積
- 集計に必要なデータ形式の整理
- 可視化に向けた指標の整理
- ダッシュボードでの表示
- 運用しながら改善できる構成づくり
短期間で検証するため、既存ツールも活用しながら、データの流れを早く作ることを優先しました。
また、単にグラフを表示するだけでなく、データがどこから来て、どのように蓄積され、どの指標として見えるのかを整理しました。BIツールは見た目のダッシュボードだけでなく、その前段にあるデータ連携と整形が重要です。
開発で意識したポイント
BIツールの開発では、最初からすべての指標を網羅しようとしないことが大切です。
見たい数字をすべて並べようとすると、データの定義が揃わなかったり、連携元が増えすぎたりして、初期開発が重くなります。MVPとして進める場合は、まず意思決定に効く指標を絞り、その指標を見るために必要なデータから連携する方が効果を確認しやすくなります。
今回も、データ取得、蓄積、可視化までを一気通貫でつなぐことを優先しました。部分的にデータを集めるだけでは、現場で使えるか判断しづらいためです。
また、運用開始後に指標を追加したり、集計条件を調整したりできるよう、拡張しやすい構成も意識しました。BIツールは一度作って終わりではなく、業務の変化に合わせて育てていくものだからです。
成果
複数箇所に分かれていた業務データを自動で集約し、確認しやすい形で可視化する初期基盤を構築しました。
手作業の集計負担を減らし、データを見ながら改善を進めるための土台を整えられたことが大きな成果です。担当者が毎回データを集めて加工するのではなく、必要な情報を確認しやすい状態に近づけることで、業務改善や意思決定に時間を使いやすくなります。
また、初期段階でデータの流れを作ったことで、今後どのデータを追加すべきか、どの指標を見直すべきかも判断しやすくなりました。
この事例から言えること
データ活用は、最初から大きな分析基盤を作らなくても始められます。重要なのは、いま困っている集計作業や、意思決定に使いたい指標を明確にし、まずは小さくデータの流れを作ることです。
テックテックでは、現場で使われている既存システムやファイルの状態を確認しながら、どのデータから連携すべきか、どの指標を最初に見るべきかを一緒に整理します。
「データはあるが活用できていない」「毎回の集計作業を減らしたい」「まずは小さく可視化してみたい」という段階から、MVPとして支援できます。